1970-'71 Bridge the Gaps
地区ガバナー 
絹川 清
President ROTARY INTERNATIONAL William E. Walk, Jr.



 “隔たりを取り除こう”
 いわゆるギャップなるものはいずれも人間が作ったものであります。人間は人間がひき起こした問題の解決策を見いだしうるはずであります。しかし誰かが隔たりを取り除くための媒体の役を果たさなければなりません。もしロータリー・クラブを検討の場として、各会員が問題を見いだすならば、ロータリアンは隔たりを取り除くことができます。
 今年度は、国際関係を改善するための手段として、我々は世界社会奉仕に一層重点をおかなければなりません。
 ロータリアンは如何にして助力し得るか?
  (1)人と人との間の隔たりを取り除くこと
  (2)諸国間の隔たりを取り除くこと
  (3)人とその生活環境の不均衡を是正すること

 ガバナー方針
 第1に7月中の早い機会に、会長の「隔たりを取り除こう」のメッセージを全会員に周知徹底させること。第2にクラブの強化のために、8月中に資格ある新会員1名を迎えること。第3に幸福な人生の追求、それは出席100%であること。何故なら、健康と事業安定さらに家庭平和があってこそできるからである。

 職業奉仕と時間励行
 時間不励行は昔から我国にあった悪習慣の1つで、長年にわたるこの悪習慣は一朝一夕には、追放することは甚だ困難である。ロータリーの会合は時間励行であることを誇りとし、社会一般からも高く評価されている。
 あるロータリアンは、ロータリーの会合は勿論のこと、ロータリー以外の会合にも時間励行を実践し、称賛を博している。しかしロータリアンの中には、ロータリーの会合だけは時間励行をするが、他の会合には時間励行をしていないものもいる。誠に嘆かわしい次第である。
 ロータリー精神、他人への思いやりと助け合いを職業生活に実践すれば、それが職業奉仕である。時間励行も職業奉仕の一端である。契約の忠実な履行は即ち道徳基準の高揚である。

 地区内全38クラブの公式訪問を終わり
 年度早々から公式訪問を開始したので、会長・幹事・その他会員の皆さんには、年度始めの他の行事と重なって、随分ご迷惑をおかけしたことと恐縮に存じている。しかしレイク・プラシッドで教わった通り、公式訪問はできるだけ早めにやった方がよいという信念は今も変わらない。
 訪問したそれぞれのクラブには、それぞれ異なった特徴があり、大変立派なクラブが沢山存在するのを見て、さすがに第365地区は優良クラブが多いと、頗る意を強くした。私は旧71地区(日本西部)の大沢徳太郎ガバナー(1939-'40)並びに旧61地区(日本西部)鳥養利三郎ガバナー(1952-'53)の公式訪問に随伴したので、この度は三度目の公式訪問であった。それで公式訪問の裏も表も十分心得ている積もりである。
 大沢パストガバナーの時代、鳥養パストガバナーの時代に比較すると、日本のロータリーは、質においても、量においても長足の進歩を遂げたのに驚いている。今や日本は、アメリカに次いで世界第2のロータリー大国になったのである。

 推薦してよかった
 私は京都RCへ入会して足かけ39年になる。大倉治一君が私より半年早い。しかし応召等の理由でしばらく在籍されなかったように記憶している。それで実在籍年数は、私の方が少し長い。第365地区中最古参のクラブが京都RCである。故に私が現在の第365地区中最古参の会員であるという勘定になる。
 ロータリーの会員になった以上、ロータリーをよく知り、ロータリーの教えをよく守り、個人生活に、まさにまた社会生活に、奉仕の実践に努力せねばならないのは言うまでもない。と同時にロータリーに未だ入会していない、素質のよい人々に、一人でも多くロータリーへ入会してもらって、共に、ロータリーを享受することも、また我々の義務である。私もこの義務を果たすために、今日までに数えきれない位多数の方々を推薦してきた。入会していただいて非常によかったと思われる方もあった。また余りよくなかったと思われる方も幾人かはあった。その方のご入会が、ご本人のその後の人生にとっても大いにプラスとなる場合は、大成功と考えられる。

 地区大会を終わって
 前夜懇談会終了の頃ちょっとしたお湿りがあったが、大会第1日も、第2日も共に快晴であったことは、大会気分をいやがうえにももり立てた。登録者総数、1,122名はまず順当と言えよう。大和高田RCが家族会をかねて大挙参加したことは、大会史上特筆大書すべき功績であると考える。
 大会の直前、RI会長代理でRI元理事の松本兼二郎のご病気のため、急遽パストガバナー柏原孫左衛門氏に変更になったことは大きなショックであった。急の変更で印刷物の訂正は間に合わなかった。しかし遠い外国から未知の会長代理がご出席くださるよりも、近い国内から平素ご懇意に願っているお方がご出席くださるほうが、どれだけ気楽かわからない。また、ご講演を日本語で拝聴できる有り難さは、私に何よりの安堵感を与えた。
 本大会に異彩を放ったのは何といっても、第375地区ガバナー朴東奎氏のご参会であろう。同氏は第375地区と365地区と益々親善関係を深めるため遥々海を越えて親善訪問され、且つ流暢な日本語で挨拶され、大いに親善の実をあげられた。

 返事は24時間以内
 おおよそ1年近くガバナーを勤めたが、特に心に留まることは各クラブからの返事である。ことロータリーに関するかぎり、返事は24時間以内にというのが、ロータリーの鉄則であると教えられてきた。
 初めはロータリーの返事から、正確に期限内にお出しするように習慣付けて、終わりには社会全般に正確に返事を出すようにしようというのが狙いである。
 ロータリーでは、奉仕とは他人の立場になってものを考え、常に他人がして欲しいと望む所をしてあげることであると教えている。他人の欲しないこと或は他人に迷惑をかける行いは、ロータリアンの恥ずべき所である。
 また、期限は着信主義と心得るべきである。世上往々何日の消印のあるものは有効などと発信主義のものもなきにしもあらずであるが、すべて期限内に到着した例はない。もしも期限内にきちんきちんとご報告願えたら費用と手数は半減するであろう。

 この1年間の思い出
 この1年間の思い出はなかなか尽きないが、その主なものを拾ってみると、
 1. ウォークRI会長ご夫妻、デルガドーRI副会長ご夫妻、東ヶ崎RI前会長ご夫妻を京都にお迎えして歓迎会を開いたこと。
 2. 地区大会を福井RCのホストで開催し、お天気も上々で参加者1,122名の盛会であったこと。
 3. この大会に韓国から朴第375地区ガバナーのご出席を得たこと。
 4. 第375地区と親善関係を深めるため、また漢陽RCと京都RCの姉妹関係を益々親密ならしめるため、京都RCの会員並びに家族と韓国を親善訪問したこと。
 5. 年度初めの7月4日に宇治RCが城陽RCを設立してガバナーに何よりの贈物をくださったこと。これにより恐らく私がウォークRI会長の要請に真っ先に応え得たこと。
 6. 近江八幡RCのご尽力により4月12日守山RCが設立されたこと。
 7. 新設の2クラブを除き、地区内37クラブのロータリー財団の寄付が何れも300%あるいはそれ以上となったこと。
 8. 従来当地区に1名しかなかったポール・ハリス・フェローが、本年度に入って新たに千宗室君(京都)、森田二郎君(京都)、山田三郎君(亀岡)、垣見邦男君(長浜)、渡辺国武君(大和郡山)、野崎貫一君(大津)の6名を加え、なお多数の100ドル寄附者が続出したこと。
 9. 福井大会の前夜懇談会において、京都南RCの提案により、従来はガバナー出身のホームクラブ負担となっていたガバナーの後援費を、今後は地区内の全会員が年額二千円宛負担することになり、将来小人数のクラブからもガバナーが選出され得る途が開けたこと。
 10. 韓国の延世大学内のロータリー・ライブラリーへ図書を寄贈することが決定したが、輸出許可、輸入許可に頗る面倒な手続きを要し、田中藤兵衛君(京都北)その他のご努力により最近暫くその達成を見たこと等々。

 ガバナーのプロフィール
剛柔同居
鳥養 利三郎

 絹川君のロータリー入会は昭和8年とあるから、古狸の一人である。入会早々、直に古い京都クラブで副幹事に指名せられ、更に、半年の後正幹事に昇任、つづく4年余りの長い年月を、あの苦難時代のクラブ経営の重責に当たられた。それだけではない。幹事でたたきこんだ知識経験と人柄が高く評価され、ガバナー補佐役を2度まで勤めておられる。恐らく類例がないのではないか。
 絹川君は凝り性である。一旦手をつけたら、やり遂げなければ承知しない。筋の通らぬことは許さない。といえば頑迷手におえない厄介なように思うかも知れないが、決してさにあらず、剛の裏に柔を秘め、柔を以て剛を包んでいる人だと言えば、人となりがわかろう。スポーツは何でも来いで、しかもそのいずれにも相当のところまで達している。中でも私の知る範囲では、剣道と狩猟が君の人格形成の基本となっているのではないかと思う。剣道で面をつけたときの面相は剛そのものであるが、面を脱げば柔の極致でなければならぬ、と談られるのを度々聞いたことがある。柔と剛が表裏一体となっている。
 狩猟に凝ったのは若いときで、私どもはよく猪肉をいただいた。そのころは猪と組み討ちするくらいは、平気であったらしい。ところが、母が心配するからと言って、50歳になってプッツリとやめてしまった。