1981-'82 World Understanding and Peace
地区ガバナー 川島春雄
President ROTARY INTERNATIONAL Stanley E. McCaffrey
◆ “ロータリーを通じて、世界理解と平和を”
新会長マッキャフリーさんは、ロータリーはあらゆる団体の中で、最も国際性に富んだ組織であり、全ロータリアンは、一様に奉仕と善意の理想を抱いており、国際理解を促し世界を平和の理想に近付ける大きな可能性を持っている。これを実現する方法としてロータリー財団、3-Hプログラム、世界社会奉仕、RI会長主催の親善会議、青少年交換、国際共同委員会その他、世界の人々の間の理解促進に役立つ多くのプログラムがあると述べ、1981-'82年度はロータリーの国際性を強調したいとして、ターゲットは“ロータリーを通じて、世界理解と平和を”のことばを選び世界理解と平和という終局目標にロータリアンが身をもって行動するよう期待する、と語った。
◆ 公式訪問
公式訪問は、RC会長・幹事との懇談に始まる。午前11時例会場に参上して、クラブの現況報告、運営方針を聴き、問題点等あれば承って相談、助言を差し上げる。次いで12時30分例会場に入る。出席会員全員拍手の大歓迎の中を席に着く。例会スピーチとしてガバナーアドレスを行う。ここではRI会長の本年度のテーマ「ロータリーを通じて、世界理解と平和を」を詳細説明、このテーマに添ったロータリー活動の積極化をお願いする。
例会終了後、クラブ協議会を催して頂く。冒頭挨拶として、RI会長テーマに加え、地区協議会において要請した要望3項目を説明、これへの協力を依頼して協議に入る。各委員長おのおの本年度の計画を力強く述べられ、それに対し一々感想を述べ、質疑応答も活発、かなり盛り上がった協議2時間余り、最後にクラブ訪問の感想と希望を述べて、すべて終了する。
ロータリアンに老、壮、青があるように、クラブにも老、壮、青があり、また大、中、小と様々である。いずれのクラブにも特色があり、その土地に密着してコミュニティのお役に立つロータリーを志して懸命であるのは心強い。
◆ IGF
今年のIGFのテーマは次の3項目とした。
@.国際奉仕部門 「世界理解と平和を進めるには」
A.クラブ奉仕部門 「例会を楽しく意義あるものにするには」
B.青少年奉仕部門 「青少年問題にロータリーはいかに取り組むべきか」
8月29日は京都において、宇治RCのホストにより千PGをゼネラルリーダーとして第3組(京都府南部18クラブ)を、9月19日には近江八幡市において近江八幡RCのホストにより山口PGをゼネラルリーダーとして第1組(滋賀県14クラブ)を実施した。
10月17日には鯖江において鯖江RCのホストにより久津見PGをゼネラルリーダーとして第5組(福井県14クラブ)を、11月7日、生駒市において生駒RCのホストにより、杉山PGをゼネラルリーダーとして第4組(奈良県10クラブ)を、11月14日、宮津市において宮津RCのホストにより渡辺直前ガバナーをゼネラルリーダーに第2組(京都府北部7クラブ)が開催された。
総評すると、@については問題が大きすぎて論点が締まりにくく、議論が十分噛み合わなかった。しかしRI会長のテーマであるので、これに即したロータリーの活動をどう実現すべきか、と真剣に取り組んでいる事は認められた。Aについては各クラブとも身近な問題として、種々工夫された意見発表があり、各々研究・検討すべき参考例が得られた。Bについては、対症療法でなく病痕に深くメスを切り込むべしとの厳しい議論も出、誤れる放任主義育児も糾弾されるべきだとの意見も出た。ロータリアンは出来るだけ青少年に接する機会を持ち、模範を示すべきであり、RYLAによって望ましい青少年の指導者を養成すること、ローターアクト、インターアクト、また青少年の団体の援助協力をすべきであるとのことに落ちついた。
◆ 地区年次大会
第265地区年次大会は、4月3、4日、桜花爛漫の宝ケ池京都国際会館において地区内外のロータリアン、その家族3,300を超える空前の登録数を得て盛大に挙行された。
RI会長代理として、福山RCの松本卓臣PGご夫妻をはじめ地区内外、多数の臨席を得て、大会は盛り上がり、近来になき盛儀であった。
パネル討論会「ロータリーとは……」では、千PGの巧みなリードにより、ソロプチミスト次期ガバナー湯浅叡子氏が側面から見た婦人のロータリー観を示し、正統派・杉山PGと、批判派・塚本元会長の対比が会場を湧かせ、フロアーからの参加も活発であった。
梅原教授の講演「日本国の成立」は、日本文化のルーツを探る独自の仮説を発表され、日本が国際的な孤立から協調へと願うなら、自らの文化の高さを悟り、これを外国に知らせる必要のあることを指摘、われわれを啓蒙された。
京都市交響楽団による黛先生の「音で結ぼう世界の心」は米、独、仏、露、日、世界の5つの民族の音楽を演奏して、楽しみながらその特性を認識させ、音よりの世界理解をねらったものだった。
京わらべ唄、伊東ゆかりショウの催しも会衆をあかしめず、硬軟とりまぜて有効であった。
第2日は快晴、輪奐の美を誇る国際会館の庭は満開の桜で一段と秀れ、家族連れを楽しませ、また文字通り友愛の輪を広げたことと思われる。
1年有余にわたり、企画・準備・実施と最大の努力をそそがれたホスト・山科RCの増田大会委員長、広岡大会幹事、会員、家族の方々に心から深い敬意と謝意を表する。
世界社会奉仕委員会
香港インドシナ難民キャンプ救援(第345地区共同奉仕事業)
期間 1982年1月31日〜2月3日
対象 啓徳難民収容所(約7,000人)
救援内容 ^難民救援、職業教育用機器 150万円
_難民収容所保育園食品救援 1,644,080円
`救急用衣料 約3,000点(奈良県下RC提供)
贈呈式出席者(敬称略)
第345地区ガバナー ピーター・ホール氏
第345地区世界社会奉仕委員長 黄氏
日本領事館 山田総領事、小野垣領事、堀副領事
啓徳紅十字 モーガン会長、ロク仮上陸収容所長、
第265地区ガバナー 川島春雄、幹事長・本田茂(京都北)、委員長・松久保秀胤(奈良西)、ほか計17名
《2月2日 贈呈式は啓徳北紅十字の広場で行なわれた。紅十字チェアマンのモーガンさんと川島ガバナーの固い握手が印象に残る。日本領事館から山田総領事をはじめ領事、副領事が出席される。川島ガバナーのご挨拶に静かに耳を傾けられるピーター・ホール・ガバナーと黄委員長の姿が謙虚に見受けられた。
難民居住棟、保育所を見学し、生活環境を通じて国を捨て追い詰められた人々の哀れさを感じる。紅十字会議室で難民代表とシンポジウムを持つ。彼等の生の声を聴き、行動への意志と生活への粘着力の強靭さを知る。しかし、彼等の表情は想像していたより明るかった。(レポート抜粋 本田茂)》
◆ 日韓親善会議
RI会長のテーマに基づいたプロジェクトの1つに、会長主催の国際親善会議があった。4月27-29日、ソウルにおいて日韓親善会議が開催された。
日韓のロータリアンと家族、双方それぞれ500名前後計1,000余名は、会場の国立劇場および宿泊宴席のホテルを埋め尽くし、文字通り友好親善の3日間を過ごした。
スタン会長はこの会議に大きな成果を期待すると述べ、参加一人一人ができるだけ沢山の新しい友人と親しく語り合い、お互いに相手を理解することだと説いた。
日韓両国は地理的に最も近い国であるにかかわらず、心情的には遠い国、隔たりのある国と意識している面がある。たしかに過去にいまわしい関係にあった時期が少なくない。これをいかにすれば埋めていけるのか。
会議は、第1部で過去の日韓としてそれぞれの歴史学者が史実を述べ、第2部で今日の日韓関係とロータリーの現況を述べ、向笠RI次期会長が、日韓の文化的同根関係から過去の不幸な事実にともなう望ましからざる感情の解消にロータリーが大きく働くべきであると力強く主張された。第三部で、未来の日韓として、経済、文化、教育、青少年の4項目に分け、日韓協力につき意見発表がなされた。
スタン会長はすべての点において最高であったと賞賛した。つづけて、世界理解と平和実現のためには、生涯を通じての念願として持ち続けることの必要を説き、過日ローマ法皇にロータリー平和賞を贈呈した時、法皇が答えた言葉“I pray, I shall be walking for peace”を全員に唱和させて結語とした。
◆◆ガバナーのプロフィール
魅力的な英知の人
小堀 憲
川島君は英知の人である。魅力的という言葉がぴったりするほどに、容姿が端麗であり、知性が表情にあふれている。私が川島君を英知の人というのは、川島君が身につけている最高の知識を、さらに広くひろげ、時代遅れとならないようにと、精進を重ねているだけではなく、この知識を十二分に活用しているからである。
川島君が英知の人であることは、その容貌が物語っているが、特に講演の時によく現われている。例会の卓話のようなわずか30分のものでも、学術講演の時のような準備をしている。話の内容も格調の高いものである。川島君はそれを平易な日常の言葉で、淡々と、また気負うこともなく、静かに語っているので、聞いているうちに引きつけられ、さらに魅せられて強い感銘を受けるのである。
私は英知の人としての川島像を浮き彫りにすることを目論み、、ロータリアンとしての川島君には触れなかった。私が語れば蛇足になるほどに川島君のロータリー歴が雄弁に語っているからである。