1982-'83 Mankind is One, Build Bridges of Friendship
地区ガバナー 堀場雅夫
President ROTARY INTERNATIONAL 向笠廣次
◆ “人類はひとつ、世界中に友情の橋をかけよう”
向笠RI会長のメッセージ
親愛なる同僚ロータリアン諸君、人類はひとつの大きな家族。すべての人間、すべての国民を含むひとつの大きな家族です。全家族の平和と幸福がなければ、個人の平和と幸福はありえません。
世界の平和と幸福は全人類の共通の願いであるはずです。しかし、不信と猜疑が障害となって、人々が他の人々と分かち合い助け合うことを妨げています。人々が人類はひとつであることを認識する時、親睦、友情、寛容の心が生まれ、この障害に打ち勝つ力となるでしょう。従って、ロータリーを通じて世界中に友情の橋をかけようではありませんか。そうすることによって不信と猜疑は取り除かれ、障害は克服され、そして世界の平和と人々の幸福が実現するでしょう。
◎あなたのクラブにおいて 真の友情と友好的な行動の基礎として知り合いと親睦を深めることによって;クラブの会合に出席することによって;新会員を導入することによって;あなたのクラブの同僚達と意見や関心を分かちあうことによって。
◎あなたの職場において ロータリーの職業奉仕の理想を言行に示すことによって;あらゆる有用な職業に対する尊敬の念を植えつけることによって;若人達に職業に関する情報を与え職業決定の指導をすることによって。
◎あなたの地域社会において 地域社会の人々と思いやりの精神を分かち合うことによって;他人というのはまだ会ったことのない友人であることを認識することによって;地域社会の中にあるへだたりを取除くことによって;老人、障害者、不幸な人々を助けるよう献身することによって;インターアクト、ローターアクト及びRYLAを通じ青少年と共に奉仕することによって。
◎国際理解、善意と平和が真に起こり得るものであることを示すことによって;他人が友人となるのを助け、対立する者が仲間同志になるのをうながす諸計画、即ちロータリー財団、3-H計画、世界社会奉仕、組み合わせ地区及びクラブ・プログラム、青少年交換、姉妹クラブ或は姉妹都市、国際共同委員会及びその他の計画を推進し向上させることによって。
◆ 地区のテーマ "Enjoy Your Life in Rotary"
1983-'84年度のスケルトンRI会長のテーマEnjoy Rotaryより少し生意気かもしれないが、私のガバナー年度の地区のテーマは一味異なっていると自負している。私の気持ちはロータリーをエンジョイするレベルでなく、ロータリーの哲学を自分のライフスタイルの中に入れ込んで、とけ込ませて自分の人生としてエンジョイして戴きたいとの思いで考えたものである。
私の人生訓というより生き方といった方がより適していると思うが、それは“おもしろ、おかしく”である。病こうじて社是にまでした。最初は物議をかもし出したこともあったが、最近ようやく認知されたようである。
私は故あって専門分野とは異なる医学の勉強をして改めて認識したのは、人間の素晴しさ、偉大さである。地球の種の一つとしての人間の機能を見たとき、どの一つをとっても最先端の科学技術に比べ人間の人間の機能のほうが秀れている、というより桁違いにレベルが高く、全くどの面から見ても歯が立たないものであることを知った。こんなすばらしい人間も100年も経ずして死を迎えると思うと、元気で生きている間に如何に人生をエンジョイするか、自分自身は勿論のこと、肉親、友人、知人は言うに及ばず、世界の全ての人々が良き人生を送ってほしいと願うのは人間の極めて自然の心である。
幸いなことに、ほんとうに幸いなことに、私のガバナー年度のRI会長は日本人である向笠さんであり、そのテーマが“Mankind is One(人類は一つ)”という私の人生観にぴたりとする理念であり、ほんとうに充実した1年を送らせて戴いた。
その上、当該年度に苦楽を共にしたメンバーと今も生まれながらの友の様な付き合いが出来ると云うことは、なにものにも代え難い私の人生の最大の財産である。まさに、“He profits most who serves best”そのものである。
◆ ロータリー情報、広報
◎地区の最重要課題として情報を取り上げた。先ず本来のガバナーズレターの使命を忠実に実行する為、地区内の会長、幹事にガバナーからの私信として最新情報、ガバナーよりの要望事項を発信。会長、幹事が必要に応じて会員に情報を送ることにする。計13回発信。
◎地区内会員すべてには別途地区レポートを発信。カラー、モノクロ写真を多量に入れRI地区委員会、各クラブの活動報告や投稿、記事等、会員に楽しんで読んでもらえるよう編集する。出版費用はロータリアン事業体を主体とした企業広告でまかなう。計6回発行。
◎地区内の代表的報道関係者にロータリー活動についての解説、活動予告。また報道関係者に会員になってもらうよう積極的活動を行い、新聞、テレビに取り上げてもらう。
◎地区大会、インターシティーミーティングを通じて会員の啓発をはかる。
◆ 青少年活動
◎ローターアクト、インターアクトの活性化。ローターアクトも4つのブロックに分かれてIGFを開催。
◎市内のRCが協同して京都身体障害者「青年のつどい」を開催。250名の青少年が一堂に集まり交歓する。
◎RYLAの活動。230名が青少年活動を討議。
◎RAC海外研修としてマレーシア、タイへ派遣。海外理解を深める。
◆ 国際奉仕
◎神戸において向笠RI会長主催で開かれた日韓親善会議には当地区から多数参加。日韓親善の実をあげる。
◎世界社会奉仕活動。ベトナム難民(ボートピープル)啓徳キャンプ援助、タイ国の山岳少数民族(アカ族、メオ族)の救援。
◎GSE 30歳代のメンバーを厳選して団長以下6名、アメリカのミネソタ、ウィスコンシン州に派遣。
◎在洛学生に対する英会話による無料健康診断と国際交流パーティー。
◆ 新クラブ結成
地区エクステンション委員会、ホストクラブ、特別代表の活動により、京都洛西クラブが誕生。地区65番目のクラブ誕生である。
◆ セーブ・マネー、セーブ・タイム
奉仕団体であるロータリーの種々の活動の中で間接費用のかけ方が不適当と思われるものが多い。そのために当年度は経費の削減と合理化に特に力を入れた。全ての地区委員会と地区合同委員会は休日のガバナー経営の会社の講堂を利用。食事は全て社員食堂を利用して費用をミニマイズする。
地区大会の運営もプロの利用を最小にする。広報用発行物には広告費を導入して出費を最低にする。時間の節約の為、可能な限り公式訪問のプログラムを前傾して朝食会で会員幹事懇談、公式訪問アッセンブリーを午前中に行い、最後に公式訪問例会に出席。午後1時半にて終了する等時間のセーブにも腐心した。
◆ 地区大会の主旨及び内容
◎出来る限り多くのロータリアンとその家族に出席してもらう。
◎ルールに正しくプログラムの内容を作る。
◎費用を出来る限り節約して余剰金を有効利用する。(大会余剰金、ガバナー事務費予算カット、ホストクラブ補助金 計1,000万円をアメリカのペンシルベニア大学野口英世記念研究センターに寄付)
◎全員参加の大会としてロータリーの活力を増す。
◎フルアテンダンスするようメーキャップを厳格にする。(大会2日間出席徹底)
◎大会を通じて現在のロータリーを見直す。
○第1日目の5会場500人で行われた設問回答と第2日目に行われた“これでよいのかロータリー”フォーラムにより、出席ロータリアンの参加意欲とロータリーの問題点を再検討するに大きな刺激となった。大会後多くの地区内外のクラブで設問式アンケートがなされた。
◆◆ ガバナーのプロフィール
おもしろおかしく
西村大治郎
堀場雅夫サンは私の最も敬愛する友人の一人である。私ばかりではなく、家内も娘夫婦も堀場サンのファンである。娘が結婚するとき堀場サンに媒酌して頂いた。もっとも相手が堀場サンの会社で働いているからでもあるが、目下娘夫婦と同居しているので、朝な夕な堀場サンのうわさ話に花が咲く。娘の旦那が堀場サンのご子息と同級で親しくして頂いていることもあって、まるで親戚のように堀場家に出入りさせて頂いている。
堀場サンのお父上は有名な堀場信吉博士である。先生がガバナーになられたとき、私はその鞄持ち役をつとめた。公式訪問には必ず伴した。ガバナー月報の原稿も私のようなものが生意気にも駄筆をふるった。
さて、堀場雅夫サンの人柄は彼のモットーである“おもしろおかしく”に集約されている。“苦しいことは忘れ易く、嬉しいことは永遠に思い出として残る”のは神が人間に付与した最もよき特性であると彼はいう。
敗戦直後、弱冠21歳で「堀場無線研究所」を開設、今日総合分析機器の専業メーカー、世界のホリバにまで成長するまでの苦労が彼の人間をこんなにも磨きあげたのであろうか。創業25年を契機に社長職を後進に譲り、京都産業情報センターの理事長など財界人としての活躍は目ざましい。
堀場サンはおそらく父信吉先生とは一味ちがうガバナーぶりを発揮されることと思う。「ロータリーにも行革を」とはりきる彼に美喜子夫人のブレーキはかかるだろうか。