1983-'84 Share Rotary - Serve People
地区ガバナー 
財津 晃
President ROTARY INTERNATIONAL William E. Skelton


 “みんなにロータリーを――みんなに奉仕を”
 RI会長Bill Skeltonは、ボカ・ラトーンに於ける国際協議会の冒頭、次のように説示した。
「ロータリアンが人々に奉仕する最上の道は、自ら立ち上がれるように助けることです。ロータリークラブは、個々のロータリアンの力を発揮させる牽引車です。多くの会員を増やす事によって、ロータリーの実績を増大することができます。貴方がロータリーを広めるとき、貴方は人々に奉仕しているのです。この2つの目標は相携えて前進します。」
 同氏はこれに加え、画期的な会長賞設定の提案をした。画期的というのは前例がなく、しかもそのあとそれに倣う会長が出たことを意味する。ロータリーの奉仕活動に褒章とはと一部に異論もあったやに聞いたが、我々次期ガバナーはこの方針を異議なくうけいれた。
 次にテーマの意義と実行について、スケルトン会長エレクトの演説から受けた印象は、ただ単に増強してサービスに努めましょうといった口先だけのものでない、強烈なものがあった。

 会員増強:
 @野洲ロータリー・クラブ創設:7月4日、仮クラブ創立総会。11月13日、認証状伝達式。
 A鯖江北ロータリー・クラブ創設:1984年4月8日、鯖江北(仮)クラブ創立総会、認証状伝達式は1984年9月2日にそれぞれ挙行された。
 B栗東ロータリー・クラブ創設:1984年5月20日に(仮)クラブ創立総会が開かれ、認証状は10月21日に伝達された。
 以上3クラブ結成に対して「New Club Award」(新クラブ賞)3枚がスケルトン会長からガバナーに与えられた。
 C平城相楽ロータリー・クラブ(仮称)創立:創立総会、認証状伝達はいずれも次年度に委ねられた。
 スケルトン会長賞獲得条件の一つ、純会員増を満したクラブは30。
 ちなみに年度全期間を通した出席率は98.86%で、本年度も世界一を維持した。

 職業奉仕について:
 本年度の職業奉仕活動について、地区職業奉仕委員長・古川太一氏(福知山)は「野に咲かそう花」運動を提唱し、次のように述べた。
 “各クラブで理事に選ばれ、職業奉仕委員長に就任すれば、あたかも閑職に就いたかの如き錯覚に陥っている様な傾向があった。これは職業奉仕を単なる理念、理想、テーマとしてのみ捉える誤った考えがあったからに外ならない。国際ロータリー理事会では職業奉仕週間(後に月間)を規定し、ロータリアン個人に職業奉仕の理想を日常実践するよう強調すると共に、この週(月)間にクラブとして特別プログラムを組み、実践する様決議した。本年度のスケルトン会長は「みんなに奉仕を」の項目の冒頭に新職業奉仕プロジェトの開始を謳った。”続けて同氏は、“地区職業奉仕委員会は昨年から、地についた職業奉仕の実践を申会わせ、これを「野に咲いた花」運動と命名し、展開してきた。この呼びかけに応じて66クラブから71の事例が集まったので、印刷に付して配布したところ、広く好評を博した。”
 “本委員会は自信を深め、運動を拡大するため、「野に咲かそう花」運動に発展させ、まずポスターを作成した。イメージとして美しい野花をあしらい、「地域社会と手を組んで」の文字のみ入れた。それのみにとどまらず、運動の成果をまとめ、第2集の発刊を予定している。”
 古川太一委員長の言明通り、年度内に70ページに及ぶ第2集冊子が発刊され、金字塔を打ち建てた。(1983年6月)

 クラブ奉仕、特にロータリー広報について:
 世を挙げて宣伝の時代に、ロータリーに欠けるものは広報であった。その理由の第1はその気がなかったと言えるだろう。世のため人のため正しく行動すれば必ず顕れるはずだ、顕れなくても静かに満足すればよい、多くを望まない考えが根本にあり、燕雀なんぞ鴻鵠の志を知らんやの境地に自らをおいたきらいもなくはない。中に広報絶対反対を叫ぶ向きもある。第2に広報をしたくても方法をしらなかったことにも注目する必要がある。
 我々ロータリアンの善意の行動がそれなりの評価を得ることは、我々の存在を広く世に知らせる事のみに止まらず、我々を積極的にして質を向上し、ひいては仲間を増やす〈増強〉に繋がる。Share Rotaryである。
 地区広報委員長をお願いした田岡久雄氏(京都伏見)は長くこの方面に奉職しておられるベテランのロータリアンであり、ロータリーの広報についても一家言ある方である。この度かねての信念を吐露して「広報を担当される方のために」を起草された。これを印刷に付し、地区内に広く頒布して足らざるところの補足にしたいと念願した。氏の素案は1982-'83年度に略々まとまっていたものであるが、本年度にテキストとして出版できて、喜ばしい。
 地区広報委員会(委員長・田岡久雄)著作・発行『広報を担当される方のために』(1983年8月)

 国際奉仕について
 国際奉仕はロータリーの綱領第4に従って、その事業・必要資金共に拡大の一途を辿り、その計画も精密になってきた。以下に述べる1983-'84年度の状態も、今の視点からすれば幼い感じを否めない。
 (1)世界社会奉仕WCSについて次の事業を行った。
   @御所ベトナム難民センターの支援
   A野口英世記念研究センター
    アメリカ・フィラデルフィア市のペンシルバニア大学に建設予定の、日本人医学研究者研修施設となる同研究センターに対し、寄付が行われた。
   Bバングラデシュ医療奉仕支援
    日本キリスト教海外医療協力会派遣ワーカーに対して行われ、中断していた支援を、バングラデシュ・ボグラRCと協力して再会したもの。
 (2)研究グループ交換GSEについて
   この事業の派遣は1982-'83年度(堀場ガバナー)に、次のように実施され、下段に略記する。
  成田龍雄氏(大和高田RC)を団長に、5名の団員が1983年5月14日より6月28日まで595地区・596地区を訪問し、研修に努めたものである。
 (3)青少年交換について
   この事について平川幸矢委員長(長浜)のコメントは、この年度の状況をよく説明しているので、その大要を紹介する。
  @地区の青少年交換計画への参加は1971年8月、アメリカとの間い派遣・受入れ2名宛を実現してから13年になる。本年度は派遣12名、受入れ11名、計23名。13年間に派遣81名、受入れ76名、計157名となった。今後の問題点を列記したい。
  A地区内クラブに本交換プログラムが周知されていない。Australiaの人口は我が国の1/8だが、毎年300人を送出している。Finlandの人口はやはり1/24だが、1981-'82年度に七カ国から148名を受入れている。我が国でこの比率で派遣・受入れをすれば目標は2,000人、現在の10倍となる。この国際化時代に少なすぎるといえる。
  Bこのプログラムではホストクラブ、受け入れ高校、ホスト家庭の三者一体で効果が上がるが、交換交渉、教育、ニュース発行、渡航手続、送迎、学生のオリエンテーション、年中行事、日常行事、学生連絡、海外地区との文通など限りない事務のほか、万一の事故発生への対処も重要な仕事である。アメリカでは地区連合のオフィスを持ち、保険、旅行など専門的なノウハウを蓄積して対処している所もある。予算措置のみでなく、地区全員参加も必要となる。
  Cこのプログラムでは派遣学生は「若い使節」と謳我、それぞれに国際奉仕の精神を会得し、実績を挙げて帰っている。帰国後も国際間の奉仕を要請されている。そしてローターアクト、ロータリーへと奉仕の精神を身につけ、地域社会の中枢的な人材への成長を期待された学生である。県または地区別にOBと連絡をとり、自主的な運営を考え、余り負担にならない学友会を作っていく必要がある。
 (4)ロータリー財団について
  国際奉仕の諸活動は言うまでもなく、ロータリー財団の支援に負う所が多いが、一方当地区の財団支援もまた伝統的に協力である。本年度も寄付が多額に上り、380,746$に達した。これは地区として世界一であり、財団創立以来3,286,563$に上った。
 (5)ロータリー米山記念奨学財団について
  本財団に対する寄付は、例年本地区が常にトップの成績を示しているが、本年度も変わらず、普通寄付・特別寄付合計72,795,968円に達し、過去からの累計は437,415,561円となった。ただ寄付金の多きを誇るのみならず、奨学生の受入れ、学業達成への貢献も誇り得たと思う。

ガバナーのプロフィール
魚眼抄にことよせて
伊藤仁一

 長浜市のほぼ中央に赤十字のマークを高く掲げる医療の殿堂があります。医療の平等をかかげて17年前、院長として就任された当時の老朽荒廃した病院を知る人達にとって、今日のすばらしいマンモス病院の雄姿を誰も想像しえなかったものです。都会には立派な施設があり高度の治療をうけられるが、地方の人達には近代医学の恩恵が受けられないなど絶対に許されないというのが財津先生の信念であります。あの端正なお顔の下に病院の再建という困難な仕事をやり遂げられるファイトと、説を曲げない強い信念が、どこにひそんでいるのかと驚かされます。
 専門は整形外科、大変な基礎体力がいるそうで、毎朝13キロのマラソンをかかされたことがなく、びわ湖国体の聖火ランナーもつとめられたスポーツマン、中学時代から続けられている剣道は五段の腕前、若い青少年のよき師範でもあります。病院の院長という多忙な中で、どこで時間をおつくりになるのか大変な文筆家でもあります。軽快、洒脱、ウイットにとんだ文面につい引き込まれてしまいます。
 ちなみにガバナーの大役をおおせつけられた財津さんに、周囲の薦めで伴侶となられたエン夫人は近代史に名高い哲学者西田天香さんの姪御さんです。またとない理解者を得られたと、心からご祝福申し上げています。
 最近の財津さんの魅力とお人柄を一言で申せば、無刀取りの境地に入った剣聖とでもいうのでしょうか。