1986-'87 Rotary Brings Hope
地区ガバナー 
佐々木勝順
President ROTARY INTERNATIONAL M.A.T. Caparas


 “ロータリーは希望をもたらす”
 M.A.T.カパラスRI会長(フィリピン)は次のように述べています。
 私達が友情を求めて入会したロータリーは大きな躍動的な力であります。ロータリーは、さまざまな形の奉仕を通じて、80年以上にわたって、貧しき人、障害のある人、失意の人の生活に手をさしのべてまいりました。多くの時と場所でロータリーは飢えたる人にとって食料であり、渇きに苦しむ人にとって貴い清浄な水であり、幼児にとって健全な未来であり、孤独な人にとって慰めであり、若い人にとって輝ける幸せな世界であり、人生の黄昏にある人にとって光を与える存在でありました。かくして、ロータリーは世界の多くの人々に対し、自分や子供達の生活向上の夢が、今まさに、遠からず実現されるだろうと、輝かしくすみずみまで届く希望の光となりました。
 ロータリーは、クラブの親睦のなかに生まれ、、職業奉仕にはぐくまれ、社会奉仕で前進し、国際奉仕を通じて発展しましたが、よりよい明日を目ざすこの希望を全人類に分かち合うばかりでなく、100万会員の理想と行動を通じて希望を実現するよう力を尽くしていきます。さまざまな国で、さまざまな生活環境のなかで奉仕するロータリアンはこの希望を、数多くの奉仕という形で表しています――それを求めているすべての人々をさえ奮い立たせるような形の奉仕であります。
 私達はさまざまな国から集まってきています。言語も文化も異なります。宗教も多種多様です。しかし、それにもかかわらず、私達ロータリアンは平和への希望において、また、すべての人々のよりよい生活を追求する上において、1つに結ばれています。多様性の中の調和といってもよいでしょう――背景や行動様式は異なっていても調和があります。同胞に奉仕する方法は一様ではありませんが目的は1つです。私達は、私達の努力を受け継ぎ、希望をはぐくみ、それを実現する後継者のロータリアンと結ばれているように、平和な世界のよりよい生活の希望の灯をともした過去のロータリアンとも奉仕を通じて結ばれています。

 4つの重点目標及び重点プロジェクト
 私は特にマット・カパラス会長が示された「ロータリーは希望をもたらす」というRIのテーマについて、外部の人に希望をもたらす前に、自分が希望を持たなければ、どうして外部の人達に希望をもたらすことができようかと、真剣に考えました。自分がロータリアンになって良かった、ロータリーにいれてもらったがために、奉仕と友情を味わうことができたという喜びがなかったならば、自分自身希望をもつことはできないと思います。
 希望とは夢であり光であります。夢のない人生は暗いものといえましょう。そのことをナッシュビルのホテルの部屋で毎晩考えました。そして、奉仕はするものではなく、させてもらうものであることを今さらながら思い知らされました。報酬を求めるものは奉仕とはいえない。喜びを感じることが奉仕であり、させてもらったという気持ちが奉仕であると思ったのであります。

 ◎地区の重点目標について
  1. ロータリアンとして見直し
  2. 会員増強とその拡大
  3. 青少年対策の充実
  4. ロータリー財団及び米山記念奨学生への寄贈の増額
 ◎重点プロジェクトについて
  1. インドでの国際奉仕・アイキャンプの続行
  2. RIのポリオ・プラスにご協力を

 世界社会奉仕 第2次インド・アイキャンプ事業
 世界社会奉仕団 1986-'87年度の最大事業として、前年度に引続きインド・アイキャンプ事業を計画し、各ロータリー・クラブに協力と理解をお願いする。運よく、前年度第1次アイキャンプを成功された大和郡山RCの大石恒義氏が協力をかって出られ、前回の経験を生かし着々と計画をすすめて下さった。
 まずは医療団のご承諾を得るため、年度はじめに大石氏と共に桐生市眼科臨床研究所所長で、眼科の世界的権威者であられる百瀬皓博士のもとに参上し、ご協力をお願いしたところ、ご快諾をいただき、日程を1987年1月10日-13日の4日間に決定された。
 地区内クラブから31名の参加を得て、1987年1月2日大阪空港より出発する。はじめに釈尊生誕の地ブッダガヤの日本寺に参加者関係者が納骨、万灯供養を行う。聖なる地を訪れたご縁を喜び合うと共に、何故か一行の心が1つになり連帯感が得られた。
 オンボロバスで20数時間ゆられ、ベナレス経由で目的地デリーに到着する。
 翌日より手術が開始されるため、夜は徹夜でガーゼをたたむ作業を行い、翌朝に仮病室が設けられた公民館に行くと、すでに簡易ベッドに患者が横たわって手術を待っている。一昼夜をかけて歩いて来た患者もいるとのこと。奉仕団一行はベッドを回って、患者を励ましたり優しく慰めたり、医療団の食事を作ったり等々、甲斐甲斐しく奉仕活動を行った。
 4日間に276名の盲目者の開眼手術が行われ、4日目にガーゼを外し、患者の目の前に立てた医師の人さし指をじっと見つめ、そして止めどなく涙があふれ出た。まさに歓喜の一瞬である。奉仕団と患者と手を取り合って喜び合う光景……。世界社会奉仕を象徴する1枚の絵のようだった。

 地区大会に思う
  実り多い大会の成果
  地区大会は、好天の下4月18日・19日の両日、福井クラブをホストとし、福井市を会場として開催されました。
 大会の在り方については、私なりに改めるべき点は改め、名実共に実り多いものにするために、大会事務局にもお願いしてきました。
 その第1は、参加して良かったとの気持ちが持てるよう、即ち満足していただける内容と、ためになったとの印象が残るようにしたいこと。
 第2には、できるだけ経費を節約し、会員の負担を少なくし、無駄を省いて、どのクラブでも大会のホストを引き受けて頂けるようにしたいこと。
 第3点は、地区大会は地区の行事である以上、地区内の会員はすべて平等に参加していただくこととしました。主催者であるガバナーはもとより、パストガバナー、ガバナーノミニー、大会事務局、ガバナー事務局の方々も、全員が登録料を負担していただけるようにしたこと。

 メインテーマは「人類の幸福は愛と信頼から」とし、その中心行事はテーマに基づく対談と、地区最大のプロジェクトとして今年1月に実施したインドでのアイキャンプを取り上げ、アイキャンプ・アワーを計画しました。
 一方、ステージには雛壇を設けず、レーザー光線とスライドによる説明を行うようにしました。
 アイキャンプ・アワーは、地区内全会員の方々の特段のご賛同・ご協力によって成功したものでありますため、その報告を兼ね、感謝の意を表すことがねらいであり、また、医療団の百瀬博士以下5名の医師・看護婦の方も特別にお招きした次第です。
 アイキャンプ・アワーの一環として、重症心身障害者施設の人達による楽団演奏や、盲目の人達による独唱と独奏も計画するなど、すべてをその目標に合致させるようにしましたが、ご納得いただいたものと思います。
 今次のアイキャンプ拠金は、おかげで4,000万円を超えましたが、事業残金は、諮問委員会と相談の上、「世界社会奉仕基金」として積立てることになりました。
 この地区大会には3,000名を超す人達が馳せ参じていただき華々しいものとなりました。「福井らしい地区大会」・「喜んでもらえる地区大会」を合言葉にホストの福井クラブや地区事務局の方達は、大変な力の入れようで、献身的にご準備をいただき、夜を日についでのご健闘ぶりでした。私は手を合わせて感謝申し上げたい気持ちです。

ガバナーのプロフィール
古武士の風格 信念の人
植村善右衛門

 佐々木ガバナーを当時の『ロータリーの友』は次のように紹介している。
「第265地区ガバナー佐々木勝順(鯖江RC)さんは、激戦の地ビルマで辛酸をなめ、部下と共に復員された陸軍少尉だけあって人情味にあつく、太っ腹で決断力にまさり、かつ実践躬行の、いわゆる古武士の風格を持つ。その篤実で人生の機敏にふれたもの見のよい人柄ゆえに“佐々木のお陰で私の今日がある”と心酔し信頼しきっている人も多い。
 現在は本願寺派真宗寺の住職で、同派の教区会議長を勤め、かつては福井県民間保育園連盟会長の要職にもあった徳望家であるとともに、その洒脱な人柄と説得力は、強い感動を与えて止まない。
 従ってロータリー奉仕の精神も、彼の人生哲学から生まれたもので、台湾楊梅扶輪社との姉妹クラブ締結時や、鯖江北クラブ設立時の特別代表として果たした東奔西走ぶりからも、その信念の程が伺える。
 趣味はゴルフ、酒は適量で興ずれば得意の鶴田浩二の美声を披露することもしばしば。
 家族は総勢7人の大家族、ご令息もRCの会員である。特に聡明で寂徳のほまれ高い令婦夫人は閑院宮殿下のお孫さんにあたる」。