1989-'90 Enjoy Rotary
地区ガバナー 
津田佐兵衞
President ROTARY INTERNATIONAL Hugh M. Archer


 “ロータリーを楽しもう”
 1989-'90年度の会長アーチャー氏はテーマとしてEnjoy Rotaryという言葉を示されました。
 「ロータリアンの皆さん、ロータリー活動には楽しみが一杯あります。
  毎週、朝食または昼食や夕食の例会でのあなたは同僚会員と顔をあわせます。そこでは、この人達が持っているさまざまの趣味や知識から受ける刺激によって、あなたの関心を地域社会に向けてくれます。
  勿論毎週の例会はその第一歩にすぎません。私達の身近なところの、あるいは遠い地平線を越えたかなたの、奉仕プロジェクトに思いを馳せていると、自己中心の殻から抜け出て、他者への奉仕という不思議な世界へ連れ出されるのです。
  見知らぬ他人のために自分の時間と能力を捧げて、その人の生活を改善向上させてあげると、今度はかえって自分自身のほうが人間的に大きく成長するのがよくわかります。これは何とも愉快な逆説ではありませんか。他人の尊厳を保つこと、それがとりもなおさず我々自身の尊厳を高めることになるとは何と不思議なことでしょう。
  これをどんな言葉、どんな文章で説明できるでしょう。ロータリーの意味を完全的確に表す言葉は見つかりません。しかしその言葉を尋ね、ロータリー綱領の韻律に身を託し、そのほてりに私達の心を温めようではありませんか。
  さあ、ロータリーを楽しもう!」

 年度の方針
 ロータリーの運営の基本の1つにローテーションという手法があります。いくつかの例外を除いて、全ての役員は1年で交替し、事業も単年度で終わらせようという意図は何でしょうか? それはロータリアンの全生活に奉仕の心を浸透させようということです。ロータリー・クラブの活動はすべて奉仕の見本であって、クラブそのものは奉仕の修練の場であるべきです。
 ロータリーの歴史は毎年の奉仕活動の積み重ねです。各年度は木の年輪のようなもので、、前の年度の上に新しい実績を積み重ねてゆくのです。大きな木の育ったクラブは、その歴史をすべて年輪として内部に残していると言えましょう。どうか歴史と伝統を大切にしつつ、しかも新しい奉仕にチャレンジしてください。

 RIのテーマについて
 本年度から「RI会長テーマ」と言わずに「RIテーマ」と改称されました。
 本年度のRIテーマはご存じのとおり“Enjoy Rotary”です。このENJOYは文字どおり楽しむことではありますが、することを楽しみ、友人と共に苦労を楽しむという意味でもあります。このRIのテーマを受けて265地区のテーマを考えてみました。「親睦で友情を育て奉仕の花を咲かせよう」ということばです。

 年度の活動
 この年度では次のことを重点的に行ないました。
  1 クラブ外への奉仕
  2 女性会員問題
  3 地区分割の問題
 この年度では1989年7月27日に京都桂川、'90年3月7日に滋賀湖北、同月14日に京都山城、おなじく29日に宇治鳳凰と、新たに4つのクラブが誕生し、そのこともあって、新たに289名の会員を迎え入れました。会員数に対して前年度5.2%の増強となりました。
 公式訪問に先だって各クラブの資料を拝見したところ、クラブ外における奉仕が手薄なことに気づきました。これはいくつもの要因があるのですが、まず1つは『手続要覧』の書き方、あるいは読み方が不十分で、具体例のあるクラブ奉仕以外は具体的に事にあたる小委員会の設置が積極性に欠けており、したがって活動も活発化しにくいという現状でした。また、職業奉仕に小委員会ができにくいもう1つの理由は、I serveとWe serveに関する理解の不足です。I serveを成功させるためにはWe serveが必要ですし、このWe serveの部分には一定の予算が必要なのです。
 これの改革は、年度の中途で組織をいじることになり、躊躇しましたが、大方のクラブの理解が得られて、勧告を受け入れていただき、これにより外部への奉仕の活性化……、という使命を多少なりとも実行できました。
 女性会員問題に関して。1989年1月に行なわれたシンガポールでの規定審議会で、規約条文中の「成人男子が」「成人」と改められました。ロータリーが女性の入会資格を決めたことは大きな進歩でありましょう。しかし、国によって法律がことなり、社会制度や風習にも問題があります。元来、男性だけでクラブを作って今日に至ったのですから、まず、クラブの総意として「男と女で構成されるロータリー・クラブ」という全体の合意が前提とされるでしょう。そのためには、1年間程度の熟慮と研究が必要だと勧告いたしました。当地区をはじめ、大多数の地区では、機はまだ熟していないようです。この問題はぼつぼつと考えて行く段階でしょう。
 地区分割の問題に関しては、千宗室RI理事からの思いがけない助け船がだされました。「できるかぎり機の熟するのをまとう」というものでした。さらに、RIでは地区番号の整理が考えられていたらしく、それと並行して考えることになりました。これにより地区分割問題は棚上げとなりました。

 世界社会奉仕と研究グループ交換
 この年度の世界社会奉仕には2つの特色があります。その1つは、外務省の主唱している海外青年協力隊活動に同調して奉仕すること。2には、ボランティア活動にローターアクターが参加できることになりましたので、それをこの機会に実施することでした。
 現地のマレーシアのクアラルンプールで相手方のRI3330地区ガバナーK・B・リー氏のご協力で現地クラブからの協力も得られ、ローターアクター同士の交友にも成功しました。この活動は、マレーシア唯一の国立重度障害者施設「光の園(KKB)」に対して奉仕を行なう計画で進められ、1訓練室の建設 2障害者用便所およびシャワールームの新設 3電動椅子、理学療法器具、訓練用機材、視聴覚機器などが計画の中味です。
 このプロジェクトには私はもちろん、小谷隆一諮問委員はじめ関係者とローターアクトの奉仕希望者が現地におもむき、2月1日より8日まで、現地で施設の贈呈とこの「光の園」で青年海外協力隊とともに、ホームステイをしながらボランティア活動を行うものでした。
 今年度の研究グループ交換(GSE)につきましては、米国カリフォルニア州ロスアンゼルスに所在する第528地区との交流となり、こちらからは2名の女性をふくむ男女混成チームで派遣し、少なからぬ成果をあげた次第です。
 受け入れには、これまで行なったことがないクラブにホストをお願いするなどの試みが成功いたしました。しかし、各クラブでの滞在が4日間では忙しすぎる、視察と観光ばかりでなく、ボケーショナル・スタディも含めてほしい、との意見も出ています。そしてフリーな時間がもっとほしい、その相談にのってほしい、というものでした。これらは独自のテーマでスタディを行いたい意欲を示すものとして、注目しておかなければなりません。

 ロータリー財団活動と米山奨学金
 ロータリー財団に関しては、この地区の年間寄付額が61万5,366ドル、1人当り107ドル15セントの成績で、3年後の褒賞枠が確保できました。
 米山奨学会での当地区の年間寄付額は文字どおり日本最高であります。期間中に集まった金額は1億18,823,410円の高額となり、一人当たりでは2,582円となりました。また累積の寄付額においても、当地区は日本一であります。

 英文地域案内書
 会員にも配付されました英文の地域案内所『Between The Mountain And The Sea - Where To Go, What To See, What To Do』が好評でありました。観光案内はもちろん、地域における生活上必要な諸情報を網羅した外国語出版物は、採算の問題で市場に出回りにくいものです。それを地区が出版し、外国人旅行者、滞在者の飢えに応えられたのは幸いなことでした。こうした、見えにくいけれど必要な事柄に、奉仕の1つの方向が見えるように思います。

ガバナーのプロフィール
親睦の人 奉仕の人
足立義雄

 この度、新ガバナーが我が京都西クラブより選出されることとなった。当クラブに津田君という打ってつけの候補者がいたことは、なにより幸いであった。勿論、会員一同諸手をあげて賛成。京都クラブの有力役員からも同氏推薦の提案があり、万端正規の決定を見た次第、誠に慶賀に堪えない。
 さて、津田佐兵衞君は昭和22年京都帝国大学卒業後、家業の(株)井筒八ツ橋本舗をはじめ井筒食品(株)、走井餅本家、さらに(株)湖国料理井筒など商域を拡大され、また商工会議所常議員、京都名産品組合長などを歴任、昭和60年の黄綬褒章をはじめとして幾多の表彰を受賞され、昭和58年、6代津田佐兵衞を襲名、今日に至っている、
 ロータリー歴は、昭和36年入会後、39年幹事をはじめ理事9回、副会長2回を経て50年会長を就任、そのほか地区委員長、エクステンション委員長など7回に及び、いくところとして可ならざるはなく、すべての部門において親睦を旨とし、積極的な奉仕をもって指導に励まれたことは接したもの皆、感銘を深めた次第である。
 ご家族については貞淑賢明な梅子夫人とご母堂アヤ様のいたってむつまじきご家庭です。事業のほうもますます隆盛を極めつつあり、このうえは何よりも健康に留意されガバナーとしてのご活躍あらんことを心よりお祈り申し上げる。