1992-'93 Real Happiness is Helping Others
地区ガバナー 林 一彦
President ROTARY INTERNATIONAL Clifford L. Dochterman
◆ “まことの幸福は人助けから”
カンザスシティーでの国際協議会は、世界502地区のガバナーノミニーが集まり、"Enter to learn"の門をくぐり、RI会長ダクターマンの下で研修に入りました。私自身、そして多くのガバナーノミニーも同じような印象を持ったと思われましたが、このダクターマンRI会長の強力な指導力、そしてその名演説にすっかり魅了されました。年度テーマ"Real Happiness is Helping Others"は、彼の長いロータリー生活の中で培われてきたロータリー思想を我々ノミニーに優しく伝えられ大きな感動を与えられました。このことは、その後の我々の1年間の活動の大きな原動力と支えになりました。
彼の出したテーマ“まことの幸福は人助けから”という言葉は、彼がCommnity Centerで奉仕を無心に続けているロータリアンの姿の中に、そして明日を保障された病める人々の涙の中に本当の幸福感を見いだし、ひとりでにこのテーマがでてきたと聞いています。私はこれを法華経の中から“慈心与楽”という言葉を引用して公式訪問で各クラブ会員のご理解を得てまいりました。当時86クラブの6,447名の会員の皆様がこの言葉に出会って、本当に良かったと思っていただけたといまでも確信しています。
◆ 基本指針
慈しみを施し 奉仕の実践を行うことによって、ロータリアンの心は美しく、そして幸せになる
RI会長クリフォード・ダクターマン氏は胸をはって言いました。"Real Happiness is Helping Others"
私は年度始めに「ロータリーでは手は奉仕を意味します。みなさん、自分の手を一度眺めてください」と呼びかけました。手には感覚神経小体という触感器官が外の場所よりも多く集まっていて、色々な感情体験にまつわる記憶が必ずよみがえってくるはずです。私事で恐縮ですが、以前手術で3時間、左手でおなかの中の大血管を押さえ、右手だけで苦闘の手術を了え、患者の命を救ったことがあります。この左手の感触は未だに忘れていません。
ロータリアンの一人一人が手に汗して奉仕をする――奉仕の感触と体験を通じてロータリアンとしての心の幸福を理解していただきたいのです。そのことが、
ロータリーに自信を/ロータリーに品格を/ロータリアンに奉仕のこころを/
高め、より素晴らしい地区に進展すると確信したのです。
◆ 地区大会
海の国から、心豊かな思いやり
4月17日〜18日 三国町民体育館・海浜自然公園
ホスト 三国RC、コホスト 丸岡RC
日本海を見下ろし、若葉の匂いとそしてうぐいすの声を聞きながらの、三国での地区大会を回想しています。
全くの天佑か、桜の開花が大会を待っていてくれました。これは天からのロータリーへの贈物であり、この地区のすべてのロータリアンからの授かりものと思います。
私はこの大会で、自然の雰囲気の中で、年に一度の心の出会いができたこと、そして自然に対する畏敬と理解の念がロータリアンの心にいささかなりとも芽生えたのではないかということが、大会の大きな成果であったと思います。
◆ 社会奉仕
“ヒマラヤでエコロジー奉仕”
1993年3月9日-16日 ネパール国ムスタン郡ジョムソン村
ジョムソンは間近にアンナブルナ山系の高峰ダウラギリ、ニルギリを望む、標高2,700mの高所。3月12日、狭隘な谷間を抜けてジョムソンに降り立つ。礫岩の荒地が広がる。かつて周辺の山麓はシャクナゲなどの緑に覆われていたのだが、中国のチベット併合で難民が移住し、乱伐が進み不毛の地と化したのである。
第2650地区は、ヒマラヤ環境保全の一助にと、第3250地区カトマンズRCとの共同WCSとして、この地に緑の再生と生活文化向上の拠点となるコミュニティーセンター建設を計画した。林ガバナー夫妻、杉山PGはじめ、24名の地区奉仕団、第3250地区チャンドラモハン・ガバナーにカトマンズRCメンバーなど16名がセンターハウスの前に立つ。セラチャン郡長ら地元老若男女総勢が出迎える中でテープカット。そのあと、荒地に再び緑がよみがえることを願い、100余名の小学生たちとリンゴ、杏桃の苗木を植えた。
このセンターが生活文化の向上と、薬草による伝統医療の基地となり、果樹、薬草の栽培と加工での地場産業育成の場となり、トレッカーたちの憩いの場所、伝統文化の情報発信基地となり、この地を富ませることを願う。
◆ 地区統一RYLA
“若者よ21世紀に向かっていかに生きるべきか”
1993年6月4日-7日 新日本海フェリーらいらっく丸での洋上セミナー
北海道RI第2510地区との合同研修
これまでIM組別で開催されていたRYLAを、より内容の充実を期して、地区統一で3泊4日の日程で開催した。
地区86クラブから若者100名(男49名、女51名)が参加、それにローターアクト11名、ロータリアン32名が6月4日、舞鶴港に結集。洋上では講演、班別討論、レクレーション等盛り沢山のスケジュールに熱中し、無事小樽港へ。第2510地区とは青少年交歓会と講演の合同セミナーを開催した。札幌での各班のまとめ発表が、短い日時の研修で立派に成し得たこと、サッポロビール園での盛り上がりの素晴しかったこと、この若いエネルギーが各地域で燃え続けることを念じている。
◆ 公式訪問を省みて
増強・拡大・分割について
世界には会員数2,000名を超す超大クラブがあるかと思うと、8名というクラブもあります(しかし、大多数は50名以上100名未満のクラブです)。
日本でも2,049のクラブのうち、100名以上の会員数のクラブは152です。それに比して50名以下のクラブは784です(1/5)。私が問題にしたいのはこの1/5を占める50名以下の会員数の比較的小さいクラブのことです。当地区でも84クラブのうち50名以下のクラブは1/5位あります。
これらの比較的小さいクラブを回って感じたことは、率直に言って、対応力不足からくる運用への苦慮であろうかと思います。年度が始まり、矢継ぎ早やにくるRIやガバナーからの指示、さらには地区委員長からの要請はかなり重くのしかかります。したがって、小クラブがモンロー主義的になり、指示なり、要請への対応の苦慮は深刻なものがあると思います。
問題は、最大公約数的標準ではなくて、立法する人、命令を出す人の頭のなかに、常にminorに思いを致すことにより、底辺の力付けと良識を考えるかどうかです。
会員1人あたりの負荷の多い小クラブに対して、地区としてどのような指導をするか、周りの大クラブがどれほどフォローするか、の問題が派生してくると思います。会員増強と拡大とを考えて見ても、小クラブのそれはあくまでも自力増強のためにあり、拡大に導くためのものでないことが1つ。もう1つは、拡大の結果生まれた子も、弱小に陥ることが予想されるような拡大は、決して先を急いではいけないこと。この2点の原則を今まであまり守ってこなかったのではないかとの反省がなりたつのです。
◆ Woman in Rotary
1989年、シンガポール規定審議会で、manをadult person(成人)と変更して女性会員に門戸を開いてから4年になります。そして世界の女性会員は米国・カナダ・ヨーロッパを中心に4万人に達し、日本では33地区235人になり、女性会員0は6地区を残すのみとなりました。
日本のロータリーにとって女性会員問題は、現況として素直に受け入れがたい要素もあります。しかしロータリーは職業人の集団である以上、ロータリアンとしては、職業人代表としての女性会員に肯定的であるべきであり、性差の意識は返上されるべきです。また、女性だけの会の存在は、性差を意識した誠に愚かな行為と言わねばならないと思います。
そして、1993年1月、福井フェニックスRCが創立、第2650地区で初めて8名の女性会員が誕生しました。
◆◆ガバナーのプロフィール
沈思・実行の人
久津見 専
武生市は古くは越(こし)の国府所在地として栄え、源氏物語の紫式部が父とともに、一時期その青春時代を過ごした地。林先生はそれを記念する顕彰会長をしておられ、活発に地域活動を行なっておられます。
林家は代々医を業とし、ご尊父一治博士は病院を市の中心に開設され、医界にあっては県医師会長を、1954年の武生RCの設立にあたっては創立会員となり、さらには第4代会長を努められました。
先生は、かかる名門の後継者として父君の薫陶よろしきを得て、京大医学部を卒業され、以来、米国留学など幾多の研鑽を積み、今日、大病院の院長として多数の患者さんの大きな信頼を得ておられます。
友人として私の最も敬愛かつ信頼してやまない人、山を愛する静なる先生、激職を全うされますように。