1997-'98 Show Rotary Cares
地区ガバナー 
山田三郎
President ROTARY INTERNATIONAL Glen W. Kinross


 “ロータリーの心を”
 グレン・W・キンロスRI会長は年度のターゲットテーマについて次のように語った。
 「高齢者、弱者、子供達、それへの配慮が行き届いている世界、平和な世界、戦争や犯罪や暴力のない世界、みんなに教育と雇用の機会がある世界、こんな世界に誰もが住みたいと思っています。ロータリアンなら、この様な世界建設を阻む諸問題について心を痛めないはずはありません。地域社会のニーズに応えて120万のロータリアン一人ひとりが28,500の地域社会でそれぞれ生活の質を向上させるよう心を砕けば、より良い世界を築くことができます。飢餓や貧困との闘いを開始しよう。それには、文字の読めない、書けない、計算できない人々に援助の手を差しのべよう。
 Show Rotary Cares、あなたの住むところ、私たちの世界、そこに住む全ての人々に、建て前よりも原則を重んじ、ロータリーの綱領を私たちの道標として、草の根レベルでロータリーの心をまず示そうではないか」
  あなたのクラブにロータリーの心を
  あなたの職業にロータリーの心を
  あなたの地域社会にロータリーの心を
  私たちの世界にロータリーの心を
 このように、キンロス会長は4大部門すべてを通じてロータリーの心を示そうと力強く宣言された。ロータリー永遠のテーマである。

 年間基本方針
 今年度は地区ガバナーとしてのテーマは特に設けず、RI会長のテーマ=私たち地区のテーマ、として1年間“Show Rotary Cares”を掘り下げて考えることにした。
 この「ロータリーの心を」を生み出すものは「日本人の心」ではないか、私たちRI第2650地区が世界に冠たる地区に発展してきたその根源をたどる時、「日本人の心」ではないかという思いに至る。会員一人ひとりが「日本人の心」を惜しみなくロータリーに注いでいただいたおかげだと……。
 日本人は島国民族とはいえ、もともと開かれた文化の持ち主である。また、歴史のなかの絵画や歌にみるように自然と調和して共存し、共に生きるという伝統を持っているのである。そして、古きものを守り、新しいものを付加していく、俗に言う「温故知新」、それが上手な民族である。そして寺子屋に象徴されるように民衆の識字率も高かった。そんな日本の文化が日本人の心をはぐくんできた。
 20世紀は物の時代、21世紀は心の時代が来る。それは日本だけではなく、世界的な大きな流れである。
 マザー・テレサも「飢餓・貧困といっても、彼らはパンだけを求めているのではない。本当の人間として生きる生きがいを与えることが大切だ」と述べている。心のケアーが大切なのである。そしてShowすなわち行動である。具体的に示さなければ意味がないのである。
 この1年間「日本人の心」を探りながら地域社会に私たちの世界に、そして4大奉仕部門すべてを通じて「ロータリーの心を」をどう示すことができるかを基本方針にかかげた。

 年間重点事項
 その1 新世代のために
 「新世代」の上限が30歳と決められている一方、下限が決められていないというところに大きな意義を感じるものである。昔から「三つ子の魂百まで」と言い伝えられ、十分なスキンシップと愛情を与えられて、情緒的欲求を満たされた赤ん坊は愛情豊かな人間に成長、満たされない幼年期をすごすと、愛する能力を喪失する危険性があると言われている。こういった点に関心を持って貰い、いろいろな体験なり、ヒントを募った。さまざまな提案を頂戴し、また、各クラブにおいて、積極的な意見交換をすることができて満足している。
 また、2月28日-3月1日には第11回全国ローターアクト研修会を京都で開催、「鼓動――伝承と創造」のテーマのもと全国よりアクター、ロータリアンあわせて約900名の参加を見、意義ある大会となった。
 その2 ラオス・ミッション
 1998年2月6日から13日まで、ラオス人民共和国の首都ビエンチャンに於いてポリオ・ワクチン投与と小学校建築贈呈を実施した。杉山PG、財津PG、二橋PGの参加を得、井田亮世界社会奉仕委員長ほか総勢52名の大プロジェクトとなった。
 ASEAN9カ国のうち、ベトナムをはじめ6カ国の大使の出席を得て感銘を受けた。ポリオ・ワクチンはラオス国民450万人のうち5歳以下の子供100万人に投与するもので、今回は首都ビエンチャン市内の幼稚園児に対し、参加者全員で投与した。夢ある子供たちへの感動の投与であった。また、識字率50%弱のこの国に南チョンマニ村小学校建築贈呈をし、意義あるミッションとなった。
 その3 広 報
 各クラブでの効果のあった事業や新聞報道等を通じて広くロータリーを知らしめたプログラムを募集し『月信』の「Let's the Rotary to the population」のコーナーに掲載した。
 また「ガバナー新春対談」と題し、ライオンズクラブ上野孟ガバナーとの対談を実施した。ロータリー国際大会における共同宣言のこと、“I serve”と“We serve”のこと等々、話題は多く、人類への奉仕と世界の平和という同じ最終目的を確認し合い、信頼と相互理解をより深め合う意義ある対談となった。
 この対談は『ガバナー月信』と『ザ・ライオンタイムス』に同時に同文が掲載された。
 その4 環境問題
 1997年12月に地球温暖化防止会議(COP3)が当地区内の京都市で開催されることをふまえ、『月信』にて「クローズアップ環境」コーナーを設置した。
 水質汚染、海洋汚染、森林保全のケナフやパガス、そして野鳥の動向など環境問題としてあらゆる角度から問題点に注目し、各クラブの環境保全委員会プログラムの紹介等々、地区環境保全委員会と連携しながら、1年間環境問題の啓蒙につとめた次第である。また、地区大会においては初めて「環境問題に関する件」として環境にかかわる決議がなされた。
 その5 亀岡で地区大会
 4月25、26日の両日、園部RCをホストクラブに、亀岡中央RCをコ・ホストに、亀岡運動公園体育館において地区大会を開催。ご来賓、ご来客、ロータリアンを合わせ3,000人の参加を得る。千宗室RI元理事の基調講演、瀬戸内寂聴氏の特別講演は感銘あるものであった。
 また、この地区大会の模様をインターネットで世界に発信した。
 その6 拡 大
 1998年3月20日(金)、京都モーニングRCが東京以西では唯一、全国では7番目のモーニング・ロータリー・クラブとして誕生した。
 1997年3月のアメリカのアナハイムで行なわれた研修会で、1997-'98年度RIキンロス会長が1,400余名のガバナーノミニーを前に「私が今ここに立って挨拶できるのは、私のホームクラブが夜の例会であったからです」とスピーチされた。
 昼の例会があり、夜の例会がある、それなら朝の例会があっても良いのではないか? そんな発想から平井義久地区拡大委員長とやり取りがあり、平井氏のホームクラブである京都洛中RCの小西博ガバナー特別代表や会員諸兄の熱い暖かい想いが伝わり、「朝例会クラブ」となって京都モーニングRCが誕生した。千宗室RI元理事より、ロータリーの交わりが清き和を生むようにと直筆の「清和」の鐘が贈られたのである。
 50名の創立会員が独自のアイデンティティを確立し、新しい時代のロータリアンとして活躍されんことを祈るものである。

ガバナーのプロフィール
山田ガバナーに期待
大槻秧司

 足利尊氏旗揚げの地、保津川下りの亀岡。創立27年を迎えた亀岡RCは、初のガバナー誕生に燃えている。
 山田さんはチャーターメンバー。会長を早くに経験され、園部RC創立時には拡大委員長として活躍。亀岡中央RCの誕生ではガバナー特別代表として異例の早さで創立を果たされた。
 山田さんは二十代で製材業を興し、持ち前の卓抜なアイデアと実行力で現在の多角的な活動を展開する山田木材を創設。「一本の原木から街づくりまで」のコンセプトの下に、木から家へ街へさらにそこに住む人間の営みにまで、山田さんの活動範囲は広がる。特に学者・文化人との広く深い交流は彼を経済人の範疇から超えた存在とした。
 現在4期目の亀岡商工会議所会頭としては、画期的なプリペイカード導入のほか、さまざまの指導力を発揮。行くところ可ならざるはなしの山田ガバナーであり、ロータリーでもその識見と行動力でもって活躍されると確信する。
 説得力のある弁説には定評があり、ロータリーに対する思いも深いが、「燕雀安んぞ鴻鵠の志を知らんや」、彼の大きな心は、時に難解なことがある。変革を迫られている日本、今、ロータリーはどうあるべきかについて、平易にわれわれを導いていただけると信じている。