1999-'00 Rotary 2000 : Act with Consistency, Credibility, Continuity
地区ガバナー 
大日方弘明
President ROTARY INTERNATIONAL Carlo Ravizza


 1999年2月26日より3月7日までのアナハイムにおける研修に参加するまで、私は不安と焦燥と暗中模索の毎日でした。私が地区職業奉仕委員会に出向した3年間に学んだ職業奉仕を含めたI serveとWe serveについて、特に西村大治郎PGより指導を受けた事柄、また同時にポール・ハリス、日本のロータリーの祖である米山梅吉翁、また平澤興先生の文献を収集を考え心の準備としました。
 アナハイムでカルロ・ラビッツアRI会長のテーマを拝聴し、私の考えが合っていたことは非常に幸いなことでした。

“RI会長のテーマ”
 ラビッツアRI会長は新世紀の開幕を目前にして、“ロータリー何処へゆく?”、我々の組織は21世紀に参入するには準備が果たして十分であるか? 活動をするにはいかなる進路をとるべきか? とまず問いかけておられます。
 21世紀にロータリーが確実に成功を収めるには、過去の歴史と伝統に忠実に取り組み、現在を考慮意識し、21世紀に増え続けるニーズに自信を持って立ち向かい、より柔軟性の高い機構になるためには、ロータリーは変革に応じる心構えが必要であり、そのためには堅実・信望・持続が必要であると述べられております。即ち、RIの規約を堅実に守ること、また家庭に、事業に、職業に、クラブに、地域に良心的な行動をとることにより、地域の人々より信望を得ることにつながります。また「継続は力なり」の通り、複数年のプログラム、前年度、現年度、次年度のリーダーが心を合わせて長期継続目標を立案する必要がありましょう。
 またRI会長は“IよりWeへ、EgoよりTeamworkへ”を掲げられ、共に語り合い、共に行動し、共に汗を流す活動の重要性から、私の心の目標として“ロータリーの原点にかえって考えよう、一灯照一隅、万灯照世界”を掲げました。

 今年度の主たる強調実施項目として
 1)地区委員会とクラブとの密接な連携と協力
  一般論として地区委員会活動は地区にまかせきりの感が強く、会員の心からなる支援協力が必要と考え、各クラブより最低1名以上地区に出向していただき、非常にいい結果が生まれたものと思います。
 2)活動プログラムの継承について
  RIは今年度は新しい活動プログラムを作らず、前年度のプログラムの継承を提唱され、RI会長のテーマの継続、即ち人道的プログラムの継承に重点を置きました。
 3)新世代のためのロータリー・プログラムの推進
  21世紀を担う新世代、即ちインターアクト、ローターアクト、RYLA、国際青少年交換、新世代会議を1つにまとめ、この重要性を特に大切に考え、21世紀に重点をあて、力を入れました。IMのテーマも「21世紀の新世代」とし、特に新世代会議を91クラブ中84クラブが開催している現状を考えると、クラブの新世代への関心の強さを感じました。
 また地区大会は「新世代の架け橋」をテーマとして掲げ、ロータリー情報委員会を中心として「フレッシュ会員セミナー」、若人の広場して「友愛の広場」、筑紫哲也氏を中心に4人のパネリストと共に「未来を考える」と題し、一般市民の参加を対象として「公開討論会」を企画しました。また14歳以下の青少年問題の重要性「家庭教育」を「心の教育」としての大切さを強調し、若人と共に語り合うこと、交流を深める場を提供しました。
 4)ポリオ・プラス・プログラムの参加・協力
 ロータリーの大きな目的の1つであるポリオ撲滅運動が2000年で完遂され、2005年に撲滅宣言されることを踏まえて、5年前の二橋PGより、歴代の坂部、足高、中野、山田、宮崎PGによるカンボジア、モンゴル、ネパール、ラオス、ベトナムにおいてのポリオ・ワクチン投与実践の奉仕活動の後を受け継ぎ、中国・ミャンマー国境のポリオ撲滅ミッションに2000年1月10日より17日まで総勢78名、(内ローターアクター8名)で参加し、300名の園児にポリオ・ワクチンを投与、同時にCatch up Activityという地味な活動を行い、203名の4歳以下の児童に調査・ワクチン投与を行いました。この活動が西太平洋地域、さらには世界のポリオ撲滅の一助となり得たこと、また共に汗を流す活動のすばらしさを身をもって体験できたこと、また“Mankind is one”の真意を参加したロータリアン全員が肌で感じたことは偽らざる心情でした。費用は全会員の協力の年会費より、旅費はすべて自費、運営費は「おにぎりランチ」節食ランチの協力により支出しました。
 今年度の地区大会でWHO西太平洋地域事務局長長尾茂氏の記念講演があり、このミッションが2000年10月京都で行われます西太平洋地区ポリオ根絶京都会議への最終段階の目的を果たしたことは非常によろこばしいことと思います。
 5)ロータリー財団プログラム補助金小委員会の理解と応用
 ロータリー財団はI serveの寄付だけではなく、DDFの利用により、財団の補助金を利用してクラブの大きな活動ができることを公式訪問時に橿原RCの例を上げて説明し、会員の理解を求めました。年度末にはシェルター建設を含め10件の同額補助金活動(内5件は昨年より引き継ぎ)、2件の新人道的補助金活動、災害救援1件の申請があり、「財団が身近になった」との会員の声が聞こえました。
 シェルター建設についてはブラジル・シェルターには91クラブ中39クラブの協力を得、地区としてはスリランカ・シェルター建設に18,500ドルを送金致しました。
 6)ロータリーの原点についての再認識
 本年度が来るべき21世紀の変革に備えての準備の時期であることから、もう一度すべての点でロータリーの原点にかえって考える必要性を考えますと、今年度のRI会長テーマは非常に的を射たものと思います。ロータリーの活動が地球的、世界的になっている現在、ロータリーの原点の再認識が特に必要と思い、会員の皆様に訴えて参りました。
 クラブ内の充実については例会出席が大切であること、例会が米山梅吉翁の文言のように「例会は人生の道場である」ことの意味を吟味理解して頂くことが今のロータリーで必要であることの大切さを折にふれ強調しました。
 7)会員増強と退会防止
 今年度が始まる前に地区を6ブロックに分け、会長、増強委員会長ともども会議を行いました。そして会長のやろうという意志とクラブ会員の協力を訴えました。

 1年を振り返って
 1999-2000年度の前半は91クラブの公式訪問に全力を傾倒し、公式訪問を終えて初めて公式訪問の真の意義を理解することができました。特にクラブ協議会では各委員ごとに質疑応答を行い、会員の方々との密なる交流ができた喜び、また第2650地区のパストガバナーのやり方を踏襲することの大切さ、真の意義を身をもって感じました。
 後半は周年記念式典の訪問27クラブ、IM5組、その他委員会活動の出席40に及び、その間特に12月2-5日までのロータリー研究会ならびに第2回ガバナー会にはRI会長ラビッツア氏の出席を賜わり、非常に盛り上がったと思います。また今年度のガバナー同期会が「つる家」で行われ、ラビッツアRI会長ご夫妻と共に長時間、共に語り、共に飲み、ガバナーにとって本当に楽しい一夜を過ごすことができました。
 また地区大会が4月22日-23日、国立京都国際会館で行われ、RI会長代理として、RI会長側近でありアフリカ・ナイジェリア第9210地区のジョナサン・B・マジャグベ様ご夫妻のご出席を賜り、活力ある講演内容は申すまでもなく、すばらしいインテリジェンス、繊細な心遣い、シャープな世界人としての感覚、考え方に、関係者一同深い感銘を受けました。
 また私はロータリーの原点について会員の皆様にご理解頂くことに焦点をあて、特にポール・ハリス、ロータリーの歴史の理解を深めるため、会員の皆様の一番身近な月信に重点をあてました。特に職業奉仕を含めたI serveの精神については、私が地区職業奉仕の委員に携わっていた関係上、深く掘り下げることができたと考えております。
 「意義ある業績賞」は京都洛中RCの環境国際子供サミット」活動、すなわち京都市内小中学生500人と世界10カ国から20人の子供を集め、国際交流と新世代の問題に取り組まれたことにより、受賞されました。
 また「超我の奉仕賞」を山田パストガバナーが受賞され、「ロータリー財団特別功労賞」を本田パストガバナーが受賞されました。
 最後になりましたが、1年の締め括りの地区大会がコホストの京都嵯峨野RCの協力によるところ大であったこと、また京都洛西RCが67名の小人数にかかわらず、幹事長を中心としたガバナー事務所、地区大会関係者一同、ホームクラブ会長はじめ会員の皆様のご協力に、心より感謝御礼申し上げます。

ガバナーのプロフィール
信望を背負って誠実に
手嶋千俊

 京都洛西RCは1982年に国際ロータリーへの加盟承認を得た若年のクラブである。
 大日方君はクラブ創立年度の会場監督に続き、2代目会長に選ばれて基礎づくりに情熱を注いだ。「『手続要覧』の虫」といわれるほどこれを精読してリーダーとしての資質を高め、'93年には早くも地区大会選挙人資格審査委員長、地区職業奉仕委員、同委員長を歴任するに至った。
 彼は率先して奉仕を実践し、その人格、識見は共に優れ、メンバーの等しく敬愛するところである。
 新年度RIのテーマは「ロータリー2000:活動は――堅実、信望、持続」である。まさに彼には飾ることなく、そのまま地でいけるうってつけの目標であろうと思うが、それがゆえの無器用さもあり、地区会員皆さんの限りなき友情とご支援を願ってやまない次第である。
 氏は洛西の映画村に近い自宅で大日向医院を開業されており、その特望は患者の信頼を一身に集める名医として地域の評判も高く、趣味として音楽鑑賞、陶作り、殊に茶道への関心は深い。